相続税の基礎知識をやさしく紹介! 計算方法や基礎控除、対象財産まで、基本を解説

相続税の基礎知識をやさしく紹介! 計算方法や基礎控除、対象財産まで、基本を解説

相続税は、被相続人(亡くなった方)から財産を受け継ぐときに課される税金です。

しかし、「そもそも相続税は誰にどのようにかかるのか」「どの財産が課税対象なのか」「計算方法はどうなっているのか」といった点は、実際に相続を経験するまで詳しく知る機会が少ないかもしれません。

相続税は金額が大きくなることも多く、また申告期限も限られているため、基礎的な知識を理解しておくことが、スムーズな手続きと節税対策につながります。今回は、相続税の基本的な仕組みから、基礎控除の考え方、課税対象となる財産、計算方法まで、順を追ってわかりやすく解説します。

なお、今回はあくまで基本の解説です。相続税についてざっくりと知りたい方はぜひご覧ください。

相続税とは

相続税は、被相続人の財産を相続や遺贈によって取得した人に課される国税です。ただし、相続税が発生するのは相続人や受遺者の取得額が基礎控除額を超える場合であり、基礎控除以下であれば申告や納税は不要です。

相続税の税額は、遺産総額や遺産の分け方によって決まります。なお、相続税の申告・納付期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内ですので、期限内に納付まで終えられるよう注意しなければなりません。

相続税の基礎控除

相続税は、「相続が発生したら必ず発生する」というものではありません。相続税は、遺産の総額が基礎控除額を超えた場合にのみ課されるのです。

基礎控除額は、次の計算式で求めます。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

例えば、法定相続人が配偶者と子2人の計3人の場合、基礎控除の額は以下のようになります。
 3,000万円 + 600万円 ×3= 4,800万円
この場合、遺産総額が4,800万円以下であれば相続税は発生しません

ちなみに、基礎控除額を超えるような相続は、全体の8~10%程度だそうです。つまり、約9割の相続には、相続税は関係ありません。

相続税の課税対象となる財産

相続税の対象になるのは、現金や預貯金だけではありません。代表的な対象財産は以下の通りです。

  • 不動産(土地・建物)
  • 現金・預貯金
  • 有価証券(株式・投資信託など)
  • 貴金属や宝石
  • 生命保険金(みなし相続財産として扱われる)
  • 死亡退職金(同じくみなし相続財産)
  • 貸付金や売掛金
  • ゴルフ会員権
  • 著作権や特許権 など

ただし、みなし相続財産である生命保険金・死亡退職金についてはそれぞれ「500万円×法定相続人の数」まで非課税となります。

また、墓地や墓石、仏壇など、祭祀に用いられる財産は、相続税の課税対象とはなりません

補足 ~相続時精算課税~

生前対策について調べるとよく名前が出てくる制度に、相続時精算課税制度があります。

この制度は、簡単にいえば「贈与税を相続時まで猶予する制度」で、被相続人が生前に行った贈与についてこの制度の適用を申告していると、その贈与の時点では贈与税がかからず、贈与した財産は相続財産としてカウントされます。

この制度には、
・上限は2500万円まで
・年間110万円まで非課税になる暦年課税とどちらかしかできない
・税務署への申告が必要
・2500万円を超えた部分には、定率で20%の税金がかかる
といった特徴がありますが、生前贈与の選択肢を広げる制度として有用です。

(後日、解説記事を更新予定です。)

補足 ~相続開始前7年以内に贈与された財産~

相続の開始(被相続人が亡くなる)前の7年間に贈与を受けた財産は、相続財産としてカウントされ、相続税の課税対象となります(ただし、贈与の際に贈与税を納めていた場合は、相続税から控除されます(二重に課税されることはありません))。

そのため、生前贈与はできるだけ早く始める方がメリットが大きいといえるでしょう。

(後日、解説記事を更新予定です。)

相続税の計算方法

相続税の計算は次のような流れで行います。

1 純資産額の確定

まずは、相続財産の純資産額を確定させるため、被相続人が残した財産をすべて洗い出し、時価評価します。ただし、墓地や仏壇といった非課税財産や、被相続人が生前負っていた債務(借金、未払金、各種税金など)、葬儀費用は差し引きます。

まとめると、以下のようになります。

相続財産の純資産額
= すべての相続財産
+ 相続時精算課税の適用を受けた財産
+ 相続開始前7年以内に贈与された財産
- 非課税財産
- 被相続人の債務
- 葬儀費用

この際、小規模宅地等の特例特定計画山林の特例などを適用することで、財産価値を低く評価できるケースがあります。

2 課税対象となる相続財産額の計算

先ほど求めた純資産額から基礎控除額を差し引き、相続税の課税対象となる財産の総額を求めます

3 相続税の総額の計算

次に、今回の相続で支払うことになる相続税の総額を求めます

そのための手順として、相続人が法定相続分通りに財産を取得したと仮定し、それぞれが得る財産の額を計算します。そこに各人の相続税の税率をかけて、合計することで、相続税の総額がわかります。

4 各人の実際の相続分に応じて税額を按分

相続税の総額がわかったところで、次に、実際に相続する財産の額に応じて、各相続人等(相続人や受遺者など)に課される相続税額を求めます

例えば、相続税の総額が300万円だとして、長男Aさんが財産の3分の2、次男Bさんが財産の3分の1を相続した場合、Aさんは200万円、Bさんは100万円の相続税を支払うことになります。

ここで、配偶者の税額軽減を意識しましょう。

配偶者であれば、相続した財産の課税対象額が1億6,000万円 or 法定相続分相当額まで、相続税がかかりません。この制度を活用して配偶者にたくさん相続させれば、相続税の軽減につながります(ただし、二次相続時にかかる相続税に注意する必要があります。)。

5 相続税額の加算や控除の適用

最後に、各相続人等の性質に応じて、相続税額を加算・控除します

加算については、相続税額の2割加算があります。

相続や遺贈を受けた人が一親等の血族(代襲相続した直系卑属を含む)と配偶者以外の場合、相続税額が2割増になります。

控除については、未成年者控除障害者控除があります。

未成年であれば「18歳に達するまでの年数×10万円」が、障害者であれば「85歳に達するまでの年齢×10万円(特別障害者であれば20万円)」が、相続税額から控除されます。

注意点

相続税について、特に注意したい点は以下のとおりです。

  • 相続税の申告・納付は相続開始を知った日の翌日から10か月以内
    → この期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税か課される恐れがあります。この期限は、遺産分割が終わっていなくても守らなければなりません(仮に申告して、後日修正する流れになります)。
  • 納付する相続税がゼロでも申告が必要なケースも
    → 小規模宅地等の特例や相続税の配偶者控除を適用した結果、納付する相続税の額がゼロになることがあります。そのようなケースでも、これらの特例等を適用するために相続税の申告が必要となりますので、注意が必要です。
  • 不動産や非上場株式など、評価が難しい財産もある
    → 相続財産のなかには、評価が難しいものもあります。特に不動産や非上場株式の評価方法は複雑で、その判断を誤ると余分に相続税を納めることにもなりかねません。

まとめ

相続税は、基礎控除額を超える遺産を取得した場合にのみ発生する税金です。相続税がかかるかどうかを見極めるには、対象となる財産の種類や評価方法、基礎控除の仕組みを知っておくことが必要です。

相続税がかかりそうであれば、相続税の申告が必要です。申告は自分でもできますが、計算方法がかなり複雑であり、各種特例を適用しないまま申告をして大きな損をしてしまうおそれがあるので、相続税に精通した税理士に相談するようにしましょう。

また、相続税の基本を知って、事前に対策しておくことで、相続税の節税対策ができる場合もあります。専門家に相談しながら、事前の資産把握と対策を行い、円滑な相続と税負担の軽減を実現しましょう。

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